コラム
人は変われるのか、変われないのかー。
このテーマはコンサルタントにとっては甚だ難しい課題であります。
ある会社では、人は変わらない、当社にはこのような人財は少ないのだから、
採用で取るしかない、教育では人は変わらないと言って、頑として、
変化しないと言い張られる方がおられ、相当、ややこしい議論をしました。
詳しく言うと、変われない部分と変わる部分を人は持っているということでした。
だから、変われない部分は採用でカバーしなくてはという論法でした。
「教育によって人は変わらない」というのはいささか違和感がありますが、
本当に人は変わらないのか、という点です。
この言い方には「他人が望む方向には人は変わらない」という見方と
「普遍的に人は変わらない部分を持っている」ということが含まれています。
「他人が望む方向には人は変わらない」ということであれば、
それはそうだなと賛同の意を示せるのですが、普遍的に変わらないと
言われるとちょっと待ってくださいと言わざるを得ません。
今の自分は嫌だけどしょうがないんです、性分だからと言ってしまうことがあります。
その時、周囲にいる人たちは性分だからしょうがないねと言って諦めるしかない、
容認することになります。
そこにはあの人だからとレッテルを張る行為が存在しています。
人は変化するのかと言えば、変化するという立場を私は支持します。
その変化がその人の人格にすら影響を与えるということがあります。
その変化をもたらす要因は、自分が自分にどのような期待を持っているか、
他者からどのような期待を持たれているか、期待というものが影響していると
思います。
社会学の立場では、人と社会の関係は期待され、期待に応えることにより
社会は発展するということです。
人と人をつなぐものは期待であり、期待ということが重要性を持っていることが
分かります。期待されないということはつらいことで、自分の力をどう発揮したら
良いか分からなくなることもあります。
人は期待されることにより努力し、その期待に応えようとします。
何度も壁が立ちはだかり、簡単には超えられないことも体験するでしょう。
そこで自分を奮い立たせることができず、頑張れと言ってくれる人がいないと
簡単にへこたれてしまうこともあります。
しかし粘り強く頑張れるのは期待があるからだとも言えます。
人は変わろうとするが、周囲はそれをサポートしているか、という問題も
存在しています。逆も言えます。変わる必要性を周囲が感じて、それを当人に
気づかせていないという面です。
人は一度や二度は自分が変化した時期や出来事を人生の体験の中で持っています。
あの体験で私は変わりましたと。変化せずに生きている人は稀でしょう。
これは周囲の人たちとの相互作用によって、人が変化する機会を得たということだと
思います。
今まで、様々な人たちとの出会いで見てきた人生模様ではこういうことが言えます。
周囲との関係が変わらず、仕事も変わらない、組織も変わらないという状況では、
人が変化することは難しくなります。特に上司との関係は重要です。
変化させないようにしているのは実は社内にあるということも言えます。
変化するものとして、態度・姿勢、行動、人間関係、能力発揮などで、
これが変わると組織は大きな財産を手に入れることも可能なのです。
組織の未来にとって重要な知識創造は、このような変化から生まれます