タレントマネジメント組織活性化はM-ITコンサルティング

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米国におけるタレントマネジメントの理解 ―SHRM(米国人事管理協会)の報告書を中心に―

米国人事管理協会(SHRM)、通称、シャームは、年次大会の名称自体を、Talent Management Conference としている。その領域として、コミュニケーション戦略、グローバル人材戦略、エンゲージメント&モラル、イノベーション、採用、人材の惹きつけと定着化などに分けてセッションを開催している。

本コラムでは、2006年に発表されたSHRMの調査報告書から、SHRMの問題提起するタレントマネジメントについて紹介したい。

今日のようなグローバル経済になると、企業は人的資本に継続的に投資をしなければならない。ビジネスパートナーの中でHRのリーダーが有能な人材を惹きつけ、雇い入れ、育成し、定着化させるように、シニアマネジャー(上級管理者)と共に働くようになってきている。しかし、スキル不足のために、社会経済的、また文化的な激変に直面し、人材の問題が浮上してきている。そのため、人口動態の変化、グローバルなサプライチェーン、労働力の高齢化、グローバルな移動の増大などがトレンドとなっており、先行きを考える組織は、最も良く働く人材に対するタレントマネジメントを再考しなければならなくなっている。さらに、組織文化、エンゲージメント、リーダーシップは、人材のリテンションに重大な影響を及ぼしている。これらの要因を考慮すると、タレントマネジメントに対して統合的なアプローチが必要であり、持続的で際立った事業成果に向けての道筋ともなるだろう。

HR(人事部門)が企業においてますます重要な存在価値を持ちつつあるということについてはほとんど満場一致するところであろう。ビジネスパートナーによって、言い換えると、事業業績をダイレクトに増進させるには、それ(HRの存在価値を増すこと)が最良の方法となっている。効果的なタレントマネジメントが実行されなくてはならないが、それは、変革を促し、戦略と付加価値のある活動に影響してくる。

競争が高まる市場では、タレントマネジメントは組織の成功を導く最優先のドライバーである。広く定義すると、タレントマネジメントとは、現在と将来のビジネスのニーズに適合したスキルと特性をもった人材を惹きつけ、育成し、定着化し、活用することによって労働生産性を向上させるように、組織をデザインし、戦略とシステムを統合する実践的な取り組みだということになる。

最近の調査によると、HRのエグゼクティブの85%が労働力(workforce)管理において、最も重大な課題は人材についての組織の競争力を創出し、維持することになってきていると回答している。当然のこととして、効果的なタレントマネジメントは今日、戦略的なテコの中で最も重要な点を提供している。

莫大な事業価値を求めるならば、タレントマネジメントは複雑になり、絶えず進化していかないといけない。経済情勢、グローバル展開、M&Aなどの外的要因に影響されて、効果的なタレントマネジメントの成功要件は、戦略目標について経営トップが積極的に参加し、HR管理を一体化させて実践していくようになっている。タレントマネジメントをめぐる共通の課題は、ずっとラインマネジャーの役割が人材を育成することになっていることである。主要な課題は、トップを巻き込むこと、組織文化、マネジメント、プロセス、そして、責任の明確化である。

組織はますますタレントマネジメントにフォーカスしてきているという報告がある。事後処理ではなく、事前対応になってきており、企業は、人材を仕事に没頭させることに躍起になっている。SHRMの2006年のタレントマネジメント調査によると、53%の組織がタレントマネジメントにおいて積極的に取り組んでいると回答している。これらの企業のうち、76%がタレントマネジメントを優先順位のトップに挙げている。さらに、85%のHRの専門家がタレントマネジメント戦略を実行している。

しかし、企業によっては、人材を同じようには定義していないかもしれない。人材に関する信念と末端に至るその影響は、タレントマネジメントの神髄である。タレントマネジメントをうまくやるには、組織全体に行き渡るようにしなければならないし、トップ自らがスタートしなければならない。トップのサクセッション計画だけではなく、企業は、各階層で各人が貢献するように人材に存在価値を見出さなければならない。本質的には、人材は組織を動かす伝達手段と言ってよい。

競争優位を勝ち取るには、人的資本に対する要求は、タレントマネジメントを突き動かしている。タレントマネジメント戦略は5つの主要な領域にフォーカスされる。人材の惹きつけ、人材の選考、人材の育成、エンゲージメント(人材の仕事への没頭)、リテンションである。賃金と福利厚生が従業員の惹きつけに主要なものとなるが、トップのリーダー組織はリテンションと人材の育成に重点を置くことになる。

労働需給は、タレントマネジメント戦略を突き動かしている。ますます進むグローバル化やバーチャル化、異なる世代が一緒に働くという状況、より長くなる勤続期間への期待、エンパワメント、自律的な労働力が職場を変化させてきている。

(中略)

タレントマネジメント戦略はダイバーシティと参加に向けた文脈も提供していくことになる。P&Gでは、人材の妥当な組み合わせがタレントマネジメントとなっており、大卒採用のためにリーダーが多く雇われている。

タレントマネジメントは近年、期待されるスキルの不足にも突き動かされている。すべての組織、産業、職域がそうではないが、組織は人材の獲得で競争状態にある。顧客サービス、ヘルスケア、ITサポート、技術分野などで人材の不足に直面している。

2005年の米国労働力調査予測によると、今後10年先は組織の規模によって人材の不足が変化していくと予想されている。すなわち、中小企業と同様に、大企業でも、人材獲得に悩むということである。

最終的には、事業戦略の鍵を握るのは、タレントマネジメントである。ますますグローバルな技術の専門家を必要とするようになれば、フォードのような企業でも、組織の戦略目標はそのための能力開発になってくる。企業のブランディングは、もう1つのタレントマネジメントの課題である。JPモルガンの例でいえば、「1つの企業、1つのチーム、一人のリーダー」というフレーズがある。

(中略)

タレントマネジメントで第1の責任を持つのはHRだが、その役割は、非常に多いが、人材のマインドセットをファシリテートすることはその最たるものである。HRは、組織の成功に向けたタレントマネジメントを一体として推進するようにリードすることになる。HRはトップと上級管理者がタレントマネジメントにコミットするように接近して働くことになる。タレントマネジメントのファシリテーターとして、HRは組織の文化が人材をサポートすることに関心を寄せなくてはならない。広義には、HRの役割は、タレントマネジメントの理念を喧伝し、業界における競争状態を知らしめることになる。加えて、HRには、タレントマネジメントに対して統合的で、前向きな戦略的アプローチを展開することが求められる。それはあたかも全体像のようなもので、離職率とその要因、リテンション対策などのような重要な情報を知らせるといったことが含まれる。

タレントマネジメントを統合していくには、HRは変革のエージェントにならないといけない。変化を促進するためには、採用、業績管理、リーダーシップ開発、組織戦略など様々な活動を展開することになる。このような役割において、HRは、4つのリスクを負うことになる。1つ目は、スキル不足やポジションに該当者がいないといった不足のリスク、2つ目が準備のリスクで、リーダー育成を加速し、スターになる構成員を育て上げること、3つ目には、変化のリスクで、組織に必要な人材を切れ目なく供給すること、である。4つ目が、ポートフォリオのリスクで、戦略的な人材のテコを最大化し、上級管理者に人材育成と業績指標の両方にコミットさせていくことである。

最終的には、優れたHRリーダーは、タレントマネジメントに対して包括的なアプローチを取る。タレントマネジメントのプロセスに関する期待基準を明確にし、オープンにコミュニケーションを図ることが重要である。HRが経営層や従業員に、なぜタレントマネジメントが重要なのか、どうすればうまくいき、どんな便益があるかを説明することで、タレントマネジメント戦略は一層、フェアなプロセスとみなされるようになる。

効果的なタレントマネジメントは人的資本を成果に対してよりコミットさせ、仕事に没頭する従業員を輩出し、離職率を低減させる。結果として、従業員エンゲージメントは従業員の生産性と人材の定着化に決定的な影響力を持つ。エンゲージメントのある職場は、HRによるコミュニケーションの質、深さ、真摯さに基礎づけられる。管理者の役割は、従業員の、仕事、組織、そして、チームに対するコミットメントに対して最も重要な仕掛け役になることである。タレントマネジメントは従業員エンゲージメントをサポートすることになるが、それには、ワークライフバランスやテレワーク、時短、報酬プログラム、業績管理システムなどがある。

報酬と称賛の仕組みは、人材のリテンションと業績向上の双方に効果的である。カールソンとギャラップの調査によると、従業員エンゲージメントとビジネスでの成功は、公式的な場面で折に触れて称賛(recognition)を受けて満足している場合であることを示している。82%もの人が称賛を受けることは仕事上の業績を向上させ、動機付けられると回答している。SHRMの2005年の報酬プログラムに関する調査でも、84%の企業が金銭的なインセンティブだけではなく、非金銭的なインセンティブを提供していることが明らかになっている。

従業員エンゲージメント構築のプロセスは過渡期にある。報酬と福利厚生を超えて、従業員エンゲージメントは、職務経験を意味あるものにし、やりがいのあるものにすることを通じて最高のものとなっていく。効果的な従業員エンゲージメントは見えるものと見えないものの組み合わせの要因となるが、刺激となり、育成を促進し、学習を促し、サポートし、貢献を促し、称賛の行為を拡げる環境を醸成する。しかしながら、最近の調査によると、十分にエンゲージしている従業員は5分の1に過ぎないことが明らかになっている。3分の2の従業員は適度にエンゲージしているに過ぎないことが明らかになっている。従業員の不満はいろいろな要因から起こってくる。過重労働や距離感、コミュニケーション不足、能力開発機会の不足などである。そうしたリスクは中程度にしかエンゲージされていない従業員のエンゲージメントを喪失させてしまう。HRはそこで、重要な役割を果たすことになり、人々に熱意、誇り、使命感を与えることになる。究極的には、従業員エンゲージメントと人材の定着化を決定することは組織文化である。

(中略)

タレントマネジメントに関する最近の動向としては、①アセスメント、②組織戦略とタレントマネジメントを連動させていくこと、③効果的に人材を測定するメジャー(measure)を開発すること、になってきている。

効果的なタレントマネジメントは、リーダーシップの強い参画を必要とする。また、タレントマネジメントでは、次世代の従業員エンゲージメントを図ること、シナリオ作りを行ない、人材のマッチングのためのデータベースを構築することが必要になる。また、タレントマネジメントでは、人材や業績に関する測定(metrics)やスコアカード、管理指標開発し、導入していくことが重要になってきている。

 

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